意外と飽きない

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「怪物」の定義 〜理解できない存在の魅力〜

今回の記事はちょっとエグい要素が含まれます。

グロ描写などがお嫌いな方は読むのをお控えください。

 

 

私は、「怪物」が好きです。

 

ここでは、単にクリーチャー的な意味合い、いわゆるゾンビ・狼男・ドラキュラなどではなく、「自分と同じ”人間”だけれど思考が理解できない存在」という意味での「怪物」を指しています。

(クリーチャー系の怪物は大体”萌え”です。好きですが、好きの種類が異なります)

 

同じ人間でありながら、思考や行動が理解できない存在。

 

例を挙げると、

・『羊たちの沈黙』のハンニバル・レクター博士

・『ジョジョの奇妙な冒険 第四部』の吉良吉影

・『ムカデ人間』のヨーゼフ・ハイター博士

などが、私のいう「怪物」に該当します。

 

レクター博士人間の肉を好んで食べ吉良吉影は美しい女性の手に執着して女性を殺しては手だけを持ち歩き、ハイター博士は人間の口と肛門をつなげてムカデ人間を作ることを試みます。

いずれも、現実的には考えられない、一般的には受け入れがたい思考と言えると思います。

 

ところで、最近、私は『ハンニバル・ライジング』を観ました。

例によって例のごとくU-NEXTです。観たいやつ結構あるのありがてえ〜!

 

 

ハンニバル・ライジング』は、レクター博士の出生について描いたもので、「溺愛していた妹を目の前で殺され食べられた(また、自身も妹を知らずに食べてしまっていた)」ことが、彼をカニバリズムに目覚めさせた、という内容でした。

 

私は、それを観て、ひどくがっかりしました

映画が不出来だったというわけではありません。むしろ、映画としては良作で、テンポも残酷な殺しの演出も素晴らしいものでした。

 

私ががっかりしたのは、レクター博士という怪物が生まれた理由がわかってしまい、彼も結局のところ、もともとは普通の人間であった」ことに気付かされたためです。

(ただ、ハンニバルシリーズは『羊たちの沈黙』『ハンニバル・ライジング』しか観ていないので、他のシリーズを見れば考えが変わる可能性もありますが・・・)

 

 

私は、よく「殺人鬼」「マッドサイエンティストを描いた映画を好んで観ています。

 

それは、「怪物」を求めているからです。同じ人間でありながら常軌を逸した思考をし、猟奇的な行為に及ぶキャラクターがメインとなる作品。そうなると、だいたい殺人鬼か、マッドサイエンティストの映画にたどり着きます。

ですが、そういった映画に出てくるキャラクターの全てが、私の求める「怪物」であるとはかぎりません。

 

これまで観た映画に出て来た「殺人鬼」や「マッドサイエンティスト」には、だいたい共通点があります。

「幼少期に受けた虐待」「幼少期に経験した恐ろしい出来事」「異常な家庭環境」が原因で異常な行動をとる、という点です。

もちろん全部が全部ではないんですが、幼少期の虐待(特に性的な虐待)がきっかけで殺人鬼になるパターンは非常に多く見受けられる気がします。

 

映画として、「理由なき殺人鬼」「理由なき狂気」というのは、描きにくいのでしょう。確かに、理由なく人を殺すだけの犯人より、何らかの悲しい背景、ヒロイックな理由があって異常な行動に走るキャラクターの方が、魅力的にうつりやすく、観客に感情移入させやすそうです。

 

ですが、私は、「怪物」が好きなのです。

どんなに恐ろしい行動を起こす「怪物」であっても、「怪物となった理由」がわかるように提示されてしまえば、それはもはや「怪物」ではない。「自分のような一般人にも理解できる人間」だ。

これが、私の持論です。

 

かといって、じゃあ単純に人殺しが好きな殺人鬼なら良いのか?理由なく初めから狂っていればお前の大好物か?と言われると、それもまたちょっと違う気がします。我ながらめんどくさいんですけども。

 

私が言いたいのは、「怪物」になった背景を描きすぎないで欲しいということです。

 

何か過去にあった、と匂わせる描写だけで良いのです。

母親の教育が厳しかった、とか、何度も様々な手術をして魅力に取り憑かれた、とか。

 

そういうのを、出すんなら本当にサラッと。2、3回観てようやく理解できるくらい、ちゃんと観ていないと気づかないくらいサラッと。もしくは抽象的な感じで、直接的じゃない描写にするとか。

 

あまりにヒロイックに背景を描かれてしまうと、感情移入してしまって、せっかくの「理解できない人間への恐怖」がなくなってしまうんです。

だから、「怪物」を描くのならば、できるだけ「理解できない存在」のまま描いてほしいのです。

 

というわけで、私は「怪物」の例として、「ハンニバル・レクター博士」「吉良吉影」「ヨーゼフ・ハイター博士」を挙げました。

 

羊たちの沈黙』においてのレクター博士は、まさに「怪物」です。『ハンニバル・ライジング』を観さえしなければ、彼に背景はほぼ存在していません

吉良吉影もまた、公式で「母親のしつけが厳しかったせい」というのが彼の異常性癖の理由として出ていますが、本編ではそのような描写はありません。ただひたすら、「手が好きなんだからしょうがない」という感じで行動しています。

ヨーゼフ・ハイター博士にいたっては、本当に全く理解できません。彼こそ完成された「怪物」だと思っています。だって、理由が「つなげてみたい」だけなのですから。一応、シャム双生児の分離手術の権威で、だから今度は逆につなげたい、という理由が描かれてはいますが、その理由自体が理解できないので、完璧です。完璧な狂気です。

 

 

というわけで、私の「怪物」持論でした。

おすすめの「怪物」映画があったら、是非教えてください。

 

蛇足:

上記の理由で「怪物」認定しきれてないんですが、

・『ザ・セル』の連続殺人犯「カール・スターガー 」

・『ハロウィン』の殺人鬼、ブギーマンこと「マイケル・マイヤーズ」

・『ヴィー・フォー・ヴェンデッタ』のテロリスト「V」

は、とても好きなキャラクターです。

特に「V」はかなり「怪物」に近いのですが、どちらかというと彼は「理念」なので、今回は例には含めませんでした。

 

というか、「怪物」じゃなくても「殺人鬼」「マッドサイエンティスト」の時点で、だいぶ好きだよ!!!!!!!!!!!!

 

今までの話ぜんぶ無に帰した気がしますけど、まあ好きなもんは好きだからしょうがないね。クリーチャーも大好きです。ただしジャパニーズホラーだけは勘弁な。