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映画『チリンの鈴』〜狼にも羊にもなれなかった獣の行く末〜

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(※ブログ内の画像は全て自分で描いてます)

「幼少期に見たら確実にトラウマになってたなあ」系のアニメってありますよね。

私のなかで思い出深いものとしては『クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険』でしんちゃんがお風呂に入る例のシーンです。あの、紫色になった風呂から人形がぷっかり浮かび上がるところがメチャクチャに怖かった覚えがあります。

 

不穏な前置きはおいといて、今回ご紹介したいのは『チリンの鈴』という映画です。

原作はアンパンマンで有名な やなせたかし先生 の『ちりんのすず』という絵本らしいです。

知人が「超絶落ち込む」「表紙詐欺にも程がある」と絶賛(?)していたので、いつか見たいなあと思っていたのですが、このたびU-NEXTという動画配信サイトに登録して、見られることがわかり早速視聴いたしました。

 

 

トーリーの紹介

主な登場人物と関係はこんな感じ。

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話はわりと単純明快です。

子羊のチリン(首に鈴がついているのが特徴)は牧場でお母さん羊や仲間と平和に暮らしていたが、ある日ウォーという狼に羊小屋が襲撃される。逃げそこねた幼いチリンにウォーがとびかかったとき、お母さん羊がチリンを守り、命を落としてしまう。

母の仇を取ると決意したチリンは倒すべき相手であるウォーに弟子入り志願し、はじめは無視していたウォーはやがてチリンを受け入れ、チリンは強い”オオカミ”を目指し修行をする・・・

といったところです。

 

母の死による仇討ちの決意、仇を討つために仇そのものに弟子入り、やがてその仇と不思議な絆で結ばれていく・・・ある意味、王道的とも言える気がします。ここだけ抜き出すと胸熱映画っぽい。

 

ただ、この『チリンの鈴』、Googleで調べると真っ先に「後味悪い話まとめ」「鬱映画集」とかのページが出て来るんです。

なぜか?

 

それはチリンがウォーとの修行後、「狼と羊のどちらにもなれない存在」となってしまうためです。

 

ここからはネタバレ要素が強めなので、できればご自身でご視聴してからの方が良いかと思います。

 

この映画が”鬱映画”と言われる理由

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↑ 修行により立派に成長しすぎてしまったチリンくん(CV:神谷明

 

ウォーと修行を続けたチリンは、自分を鍛えてくれたウォーを「父親のような存在」と思い始めてしまいます。立派なツノが生え、岩よりも硬い蹄を持ち、強くなったチリンですが、何度も母の仇討ちをしようとしたけれど、結局できなかった。もうウォーを殺すことはできない、これからはウォーと共にこの地帯を支配する、という選択をします。

そんなある日、ウォーは かつてチリンがいた羊小屋を襲うことを決めます。「あの牧場を襲う。できるか、お前に?」と問うウォーに、チリンは「もちろんできるさ」と厳しい目つきで答えます。言葉通り、牧場を守る犬たちを次々蹴散らすチリン。

そして羊たちの小屋へ突入します。

そこに現れたのは、一匹の逃げ遅れた子羊。そして、その子羊をかばうようにおおいかぶさる母羊。かつてのチリンと、同じ状況を見てしまうわけです。

チリンは自分の過去を思い出し、「僕にはできない!」と羊たちを襲うことをやめて逃げてしまいます。しかしそれを許さないウォー。最後にチリンのとった選択は・・・

 

と、ここまで書いてしまうともう察しの良い方は「ああそういうオチ・・・」となってしまうかと思いますが、とにかくこの映画、児童向けとは思えないほどに重い内容になっています。

ウォーとチリンの絆、ウォーのチリンに対する想い、狼にも羊にもなりきれないチリンの孤独・・・そして「生き物は何かを殺して生きている」ということをこれでもかと叩きつけてくるストーリー。

とにかく「幼少期に見たら確実にトラウマ」アニメです。救いのなさに唖然とする。

 

作画は非常に素晴らしく、幼いチリンの動きのかわいさ、狼ウォーのしなやかな動き、どれをとっても魅力的で、しかも46分という短さですので、是非ご自身でご覧になっていただければと思います。結末をどう捉えるかは貴方次第。

そして出来れば私とウォーについて語り合いましょう。ウォーーーーーー!!!!!!!!最高だよウォーーーーー!!!!!!!!!

 

以上、『チリンの鈴』の感想でした。

 

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